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高血圧「血圧を下げる薬」
大阪大学大学院 教授
楽木 宏実
(らくぎ・ひろみ)

薬の選び方

高血圧の治療では、生活習慣の改善と併せて、で血圧を下げることも大切です。治療では、診察室血圧で「上が140mmHg未満/下が90mmHg未満」を目指します。ただし、糖尿病や、たんぱく尿を伴う腎臓病の人は「上が130mmHg未満/下が80mmHg未満」を目標にします。一方、75歳以上の人は全身の臓器への影響を考慮し、「上が150mmHg未満/下が90mmHg未満」を目指します。
薬物療法では、主にカルシウム拮抗[きっこう]薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬、β遮断薬という5種類の薬が用いられます。これらのうちどれを選択するかは、持病や、血圧が上がる要因を考慮して決められます。例えば、狭心症がある場合は、狭心症への治療効果もあるカルシウム拮抗薬やβ遮断薬が勧められます。食塩をとりすぎている人には塩分の排泄を促す利尿薬が、ストレスによる高血圧には、ARBやACE阻害薬、あるいはβ遮断薬、カルシウム拮抗薬が使われます。

血圧が下がらない場合

薬の服用を続けているのに血圧がなかなか下がらない場合は、「薬に悪影響を与える薬や食品をとっていないか」「ほかの病気はないか」という点などを確認します。高血圧の薬に悪影響を与えるものとしては、「痛み止めの薬(非ステロイド性抗炎症薬)」や、「甘草を含む漢方薬やサプリメント」などがあります。これらは、降圧薬の効きを悪くする場合があるので注意が必要です。
正しく服薬し、生活習慣の改善も続けているのに血圧がなかなか下がらない場合は、「原発性アルドステロン症」「睡眠時無呼吸症候群」などの病気が隠れていないか調べてみることも大切です。原発性アルドステロン症は、腎臓の上にある副腎に肥大や腫瘍が生じる病気で、急に血圧が上がります。睡眠時無呼吸症は、肥満の人がなりやすい病気です。大きないびきに伴って睡眠中に呼吸が止まることが原因で、高血圧につながっている可能性があります。

薬が効く仕組み、副作用などについては
きょうの健康テキスト11月号に掲載されています。

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