最近登場したアトピー性皮膚炎の外用薬について
アトピー性皮膚炎の治療において、従来はステロイド外用薬が主力とされてきましたが、最近ではステロイド以外の外用薬も登場し、多様な治療選択肢が可能となっています。これらの薬剤は、ステロイドのような副作用が少なく、特定の部位や症状に応じて効果を発揮します。以下に、それぞれの薬剤について説明します。
1. プロトピック軟膏
特徴
- 有効成分: タクロリムス(免疫抑制剤)
- 作用の強さ: ストロングに分類される作用
- 適応:
- 小児: 0.03%(2歳~15歳)
- 成人: 0.1%(16歳以上)
特性と使用部位
- 顔や首などのデリケートな部位に適しています。
- 分子量が大きいため、炎症のある皮膚からのみ吸収され、正常な皮膚からは吸収されません。このため、過剰使用の心配が少ない。
- 皮膚刺激を伴う場合があるため、医師の指示に従って使用が必要。
用法
安全性
- 皮膚がんやリンパ腫のリスクはないと考えられています。
2. コレクチム軟膏
特徴
- 有効成分: デルゴシチニブ(JAK阻害薬)
- 作用の強さ: ステロイドのミディアム~ストロングに相当。
- 適応:
- 0.5%: 生後6か月以上に適応。
- 0.25%: ミディアム作用として使用。
特性と使用部位
- 全身に適用可能で、顔や首以外の部位にも使用されます。
用法
3. モイゼルト軟膏
特徴
- 有効成分: ルプリサスチン(抗炎症薬)
- 作用の強さ: ステロイドのマイルド~ミディアム相当。
- 適応:
- 2歳以上: 0.3%または1%濃度で使用。
- 15歳以上: 1%濃度が推奨される。
特性と使用部位
- 弱い作用ですが、感染性の副作用が少なく安全性が高い。
- 赤ちゃんや小児でも使用可能。
用法
選択肢としての位置づけ
- プロトピック軟膏: ストロング作用、特に顔や首の使用に適している。
- コレクチム軟膏: 中程度の作用、全身に適用可能。
- モイゼルト軟膏: マイルド作用、感染性副作用がなく、小児にも安全。
注意事項
- ステロイド外用薬との併用:
- アトピー性皮膚炎の急性症状においては、引き続きステロイド外用薬が効果的であり、新しい薬と併用する場合があります。
- 医師の指示に従う:
- これらの薬剤は部位や症状に応じて使い分ける必要があるため、自己判断での使用は避けましょう。
- 紫外線対策:
- 一部の薬剤は紫外線に敏感な状態を引き起こすことがあるため、日中の外出時は紫外線対策を行うことが推奨されます。
新しい治療薬はアトピー性皮膚炎の治療に新たな可能性をもたらしています。症状やライフスタイルに合わせて適切な薬剤を選択するためには、専門医の診察を受けることが重要です。