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東北大学大学院 教授
伊藤 貞嘉(いとう・さだよし)

薬は血圧を下げるだけが目的ではない

薬は血圧を下げるだけが目的ではない

日本ではおよそ4300万人が高血圧と推計されていますが、そのうち薬をのんでいる人はおよそ半数といわれており、さらに、薬をのんでいる人の中で140/90mmHg未満まで血圧を下げられている人は、3~4割程度だと報告されていて、多くの人が適切に血圧をコントロールできていないことがわかっています。
その原因のひとつとして考えられるのが、薬に対する認識不足です。薬が嫌いだったり、のんでいたけど途中でやめてしまったりする人の中には、薬に対して間違ったイメージを持っていたり、薬をのむ本当の意味を理解していなかったりすることが考えられるのです。
じつは、血圧の薬は、血圧を下げるだけが目的ではありません。血圧を下げるのはあくまでも通過点であって、脳や心臓、腎臓などの大切な臓器を守るのが、本当の目的なのです。
脳・心臓・腎臓は、高血圧によってとくにダメージを受けやすい臓器なので、血圧の薬をのむことで、大切な臓器を守っているという意識をもつようにしてください。

2タイプある高血圧の薬

高血圧の主な薬

血圧を下げる薬には、大きく分けて血管を広げることで血圧を下げるタイプと、血液の量を減らして血圧を下げるタイプの2タイプがあります。
血管を広げる薬には、カルシウム拮抗薬やARB、ACE阻害薬などがあり、血液の量を減らす薬には、利尿薬があります。一般的に、これらの薬は、血圧の値やほかの病気などを踏まえて2〜3種類併用する場合もあります。
現在使われている薬は、工夫や改良がこらされていて、効果は高く、副作用も少ないものがほとんどです。万が一、いま薬をのんでいて気になる症状や不快な症状がある場合は、自分の判断でのむのをやめたりせず、担当の医師に相談して自分に合った薬を見つけましょう。 NHK今日の健康

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