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糖尿病の現状と治療薬に関する情報


糖尿病の現状

  • アジア人に糖尿病が多い理由:
    アジア人は遺伝的にインスリン分泌能が低いため、糖尿病発症リスクが高い。
  • 日本の糖尿病患者数: 約950万人。
    • 治療率の低さ: 患者の3分の1が治療を受けていない。
    • 特に、仕事や子育てに忙しい壮年期の治療率が低い
  • 治療目標未達成:
    • HbA1c7.0%以下を達成できている患者の割合が低い。
    • BMIの悪化も課題。

糖尿病治療薬の作用と特徴

1. チアゾリジン薬

  • 作用: インスリン感受性を増強し、血糖を下げる。
  • 適用: 特にインスリン抵抗性のある患者に有効。

2. SGLT2阻害薬

  • 作用メカニズム:
    • 近位尿細管で糖の再吸収を阻害し、尿中に糖を排出することで血糖値を低下。
    • インスリンに依存しない血糖降下作用を持つ。
  • 効果:
    • HbA1cを**0.8~1%**低下。
    • 体重を平均3kg減少させ、3分の1は脂肪燃焼による。
    • 腹囲の低下、HDL(善玉コレステロール)の増加。
    • 血圧を平均3.5mmHg低下。
  • 適応患者:
    • 若年でメタボリックシンドローム体型の男性に最適。
    • 後期高齢者神経障害のある方には注意が必要。
  • 副作用:
    • 尿路感染症。
    • 初期の低血糖リスク(特に他剤との併用時)。
    • 痩せ型患者への使用注意。
    • 血圧低下による起立性低血圧。
  • 併用時の注意点:
    • **ピグアナイド薬(メトホルミン)**併用時に乳酸アシドーシスリスク。
    • 利尿薬との併用に注意。

3. メトホルミン

  • 作用: インスリン抵抗性を改善し、HbA1cを約1%低下させる。
  • 効果:
    • 体重減少(特に内臓脂肪の減少)。
    • SGLT2阻害薬との併用で効果が上乗せ。
  • 注意点:
    • 乳酸アシドーシスのリスクがあるため、腎機能低下患者では慎重に使用。

4. SU剤

  • 特徴: 血糖降下効果はあるが、効果が長期化しない
  • 低血糖リスク: 特に高齢者で注意が必要。

5. その他のポイント

  • 糸球体の濾過量に影響しないが、腎機能によって治療効果が変わる。
  • ヨーロッパではピオグリタゾンとの併用が注意喚起されている。

糖尿病の治療における今後の展望

  • 1型糖尿病へのSGLT2阻害薬の適用可能性。
  • 合併症予防:
    • 血管危険因子(高血圧、糖尿病)の徹底管理が重要。
  • 早期治療の重要性:
    • ただし、MCI(軽度認知機能障害)への介入で効果に差がないため、個別の治療計画が求められる。

糖尿病治療は患者の生活スタイルや病態に合わせた適切な薬剤選択が重要です。専門医の診察を受けながら、効果的な治療と予防を進めることが推奨されます。

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